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 2008-01-04 03:38:15
2008年新春展望、東京大学人工物工学研究センター・大武美保子准教授(ほのぼの研究所所長)、
研究の市民参加で科学技術と社会が面白くなる

 これまで、学術研究都市というと、大きな研究機関や大学が集積しつつも、そこに住む人の暮らしと研究とは切り離されているイメージが強かった。研究の途中段階ではなく、成果が得られた段階で市民に公開され、それらが新たな産業や雇用を創出することが期待されてきた。

 これに対し東京大学柏キャンパスの位置する千葉県柏市では、研究成果を市民に普及するだけでなく、市民が実証実験に参加する、すなわち、研究成果を研究者と市民が一緒になって作り出す市民参加型研究が行われている。

 例えば、日常生活の中に、自然に運動を取り入れ、運動機能を向上させることを目指す「十坪ジム」が市内各所に開設され、高齢者を中心とする市民が利用している。ここでは、東京大学で開発された認知動作型トレーニングマシンを使って、トレーニングすることができる。

 千葉大学が推進する「ケミレスタウン」プロジェクトでは、シックハウス症候群にならないよう配慮した住宅に患者が一時的に住む実証実験が行われている。つくばエクスプレスの開通により都市開発が進む柏の葉キャンパス駅前には、柏の葉アーバンデザインセンターがあり、ベロタクシーなどが試験運用され、まちづくりスクールやワークショップ、アートイベントなどが開催されている。

 このような中、2007年7月に、東京大学と柏市、柏市民、企業の民産官学連携により、認知症予防回復支援サービスを開発し、高齢者を中心とするヒトの認知脳機能を解明する研究拠点「ほのぼの研究所」(http://www.fonobono.org/)を開設した。

 特に健康や福祉など、社会システムにかかわるバイオテクノロジー領域は、社会実験を行うことが不可欠であることから、このような取り組みは、研究の推進という観点から有効である。最先端の研究に参加することを通じて、暮らしに関わる問題解決に、市民が積極的に取り組むまちづくりにつながる。

 特に日本は教育水準が高いことから、こういった取り組みは、大学や研究機関の地域貢献が求められる中、各地で盛んになっていくものと考えられる。

 ほのぼの研究所では、会話支援システムを用いて認知症予防回復を目指す「ふれあい共想法」プログラムを開催し、記憶テストや会話計測、脳活動計測、モデリングとシミュレーションなどを通じ、その有効性を実証している。プログラムを継続的に開催し、参加者が次の回の開催者に回ることで、人のつながりを作りながら、市民が市民に対して認知症予防支援サービスを提供する仕組みを構築している。

 2007年7月に開所して以来、さらに千葉県の協力を得て、100名以上の市民参加があった。2008年1月現在、60歳代から80歳代の参加者有志約10名が市民研究員となり、研究活動を行っている。まちなかに研究所を作ることで、市民が研究を楽しむという新しい文化を生み出せる予感がある。2008年を、科学技術と社会のバランスの取れた発展と、発見の年としたい。


BTJジャーナル07年7月号「さきがけCloseUp」第6回
神経系の双方向シミュレータを開発
柏市ほのぼの研究所で認知症予防
大武 美保子 氏
東京大学 人工物工学研究センター サービス工学研究部門 准教授 学術統合化プロジェクト(ヒト) JSTさきがけ研究者 ほのぼの研究所所長
http://biotech.nikkeibp.co.jp/btjjn/#btjj0707

リンク:大武研究室(http://jp.otakelab.net/


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